第19章 力
たんっと音を立てて自室に戻って来た怜。
多々良「あーあー、傘持って行かないからー。」
十束は浴室からタオルを持って来て怜を拭く。
当の本人は気にする事なくポタポタと水を垂らしながら帽子を外す。
怜「・・・多々良、間違ってなかったよ。」
多々良「・・・え?」
怜「近いうちに何か起こる。」
多々良「・・・予言ってヤツ、かな?」
怜「断言しても構わないのだけれどね?」
クスクスと笑う怜。
ピロリンと連絡が入った。
電話する。
その直後にかかってきた電話。
怜「もしもし?・・・うん。そうだよ。・・・うん。うん。了解。気を付けるね。・・・ごめんね、ひこお仕事増やして。・・・うん、わかった。じゃあまたね。」
多々良「・・・伏見から?なんて??」
怜「さっきスタジアムに行ったのが監視カメラでバレちゃった。知らない人扱いで書類出してくれるけど、外出するときは絶対気を付けろバカ。って言われた。」
多々良「素直じゃないなぁ伏見も。」
他に誰が素直じゃないのだろうか。
多々良「怜ちゃん、お風呂入っておいで。風邪ひいちゃうよ。」
多々良は、底なしに優しいのだろう。誰にでも。