第19章 力
スタジアムから飛び出してきたクロ、シロ、ネコ、怜。
きっと彼は気付いただろう。私であると。
路地裏に入ると、怜はクロを降ろす。
シロ「クロ!大丈夫!?」
クロ「・・・何故助けたっ!」
クロは鞘を抜かずに怜に剣を向ける。
シロ「クロ、助けてもらったんだからそんな言い方は・・・!」
クロ「答えろ!」
怜「・・・答える義理はないわね。」
フイッと怜はそっぽを向く。
シロ「あ、あの!この前も、今回も、助けてくれてありがとう。助かったよ。」
怜「・・・。」
じーっとシロを見る怜。
シロ「・・・えーと、あのー・・・?」
怜「・・どうしてこんな奴・・。」
シロ「・・・え?」
怜「思い出せ。」
シロ「・・・!」
怜「気付け。お前に。お前は何をやっている。」
シロの目から涙がこぼれる。
ネコ「シロ!?・・・シロをいじめるな!!」
ネコは怜に攻撃しようとする。
シロ「違うんだ!」
シロは慌ててネコを止める。
シロ「・・・何でだろう。涙が、止まらないや・・・。」
怜「記憶を取り戻せ。お前が何をしていたのか、お前が何を思っていたのか。」
怜はそれだけ言うと、路地裏から出て行く。
怜「・・・あぁ、忘れていた。」
怜がポイッと投げたのは、どこかの鍵。
怜「セプター4は何処までも追いかけて来る。場所はそのストラップに書いてある。」
それだけ言うと、怜は姿を消した。
クロ「・・・ホテル、か?」
チャリッとその鍵を拾うクロ。
シロ「・・・お言葉に、甘えよっか。こんな雨だし。」