第3章 親
何だかんだで女性陣がずっと付いて回って来たから、気になっちゃって面白くなかったなぁ、と思い返す。
怜「・・・思いつかない。」
仁希「んー・・・んじゃ、服でも買うか。冬服しかねぇだろ。」
仁希の息子、猿比古は自分の父親に驚いてばかりだった。
自分だけの時には、そんな事言いだしもしなかったくせに。なんて思いながら怜を見る。
怜はそんな仁希に満更でもなさそうで、猿比古は自分のもやもやした気持ちが膨らむ。
仁希はいつも、怜だけを誘う。帰ってきて即行怜に話しかける。怜は俺と一緒にいるのに。
いつもドロドロとする。でも、怜はいつも俺も連れ出してくれる。怜は俺を独りにしない。そう理解してからは、ドロドロとした気持ちが出なくなった。
怜「ひこも、一緒の服。」
仁希「あ?・・・あぁ、去年のじゃ着れねぇか。おサルも準備しろよ。」
いつも俺の大切にしてる物を笑って壊す父親(コイツ)。
でも、怜は壊さない。怜はコイツのお気に入りだから。
一度、怜にそう言った事があった。けど、怜は不思議そうに言った。
怜「ひこは、仁希の大切。だから、仁希はひこにちょっかい出す。」
その言葉は理解なんて出来やしなかったけど、怜がいればいいや、なんて思った。
歪な伏見家は今日も出かける。
色違いの同じ服を着て歩く顔立ちの整った双子。双子の少し前を歩くチャラいお兄さん。
そんな彼らは今日も人目を引いている。
怜「仁希、」
仁希「めんどくせぇからこっからここまで2着ずつ。」
店員1「え?あ、は、はい!」
怜「待って、選ぶ。ひこ、いるのある?」
猿比古「・・・パーカー。」
怜「選ぶから、待って。」
店員1「は、はい!・・・???」