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白いアリスは彷徨う

第15章 発見









草薙「・・・志摩さん?まさか、怪我してはらへんやろね?」





志摩「今更だねぇ。着替えさせたのは出雲でしょ?」



ぱくりとスプーンを口に加える志摩。


志摩「別に困らなかったからさ。右腕が痛いだけで。・・・古傷だから、気にしないでね。」



アンナは満足気だ。



草薙「せやけど、よっぽど悪いんちゃいます?」
志摩「さぁ?ずっと痛んでるから麻痺しちゃってる。」




またぱくりとスプーンを加える。















食べ終わり、草薙は腕を見せろと志摩に言った。




志摩は渋々Yシャツを右腕のほうだけ脱いだ。


下には雑に巻かれた白い包帯。




草薙「・・・外しますよ。」
志摩「気にせず外していいよ?」



草薙は腫れ物を触るかのようにそっと包帯を外していく。




徐々に顕になる傷跡。


二の腕にザックリとある切り傷。かなり大きく、膿んでいる。古傷だという割に全く治療を受けた形跡がない。



手首には真っ赤な縛られた跡がある。そして、腕には赤黒い痣。正直見てられない。




草薙「・・・志摩さん・・!!!」



志摩「なぁに?出雲。」




これを、放っていたというのか。
これを、痛いという一言で済ませていたのか。
これに慣れたというのか。






草薙「病院物ですよこの怪我全部。」
志摩「病院は嫌いなんだ。大事な物を奪う・・・。」


草薙は手当てを始める。何ともないかのように平然としている志摩。



美咲「・・・痛くないんすか?」
志摩「それなりに痛いよ?」
美咲「誰にやられたんすか。」



八田が怒っているのが感じれた。



志摩「んー・・・?八田くんに言っても仕方ないよ?」
美咲「何でっすか。」
志摩「もういないからさ。」



それはつまり死んだ事を示していた。



美咲「・・・。」
志摩「あの人が怒ったんだ。だから、僕は生きている。」




にこりと笑う志摩。



草薙「待ち。・・・志摩さんのいう“あの人”は、25年前に亡くなっとる。志摩さん、アンタこんな傷をずっと?」
志摩「こっちの傷ね。この痣は別。」


志摩は痣を隠す。



志摩「これは、違う。」


グッと握る力が強くなった。







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