第3章 親
何かが当たってくすぐったい感覚がして、パチリと目を覚ます。
そういや、あれから寝ちゃったのか・・・。
目の前には猿比古くん。
と、上からかかる猿比古くんと同じ色の髪の毛。
・・・髪・・の毛・・・。
ガバァッと起き上がってみれば、そこには知らない男の人。
怜「・・・誰?」
「いや、こっちからすりゃお前が誰だ。」
耳で光る多くのピアス、ジャラジャラしたチェーン。まともそうではないな、なんて寝ぼけた頭で考える。
「猿の友達かぁ?っつっても、猿に友達なんかいたか?」
怜「・・・怜。」
仁希「伏見仁希。いちおーコイツの父親ってやつ?」
猿比古を指差しながら言う仁希。
怜「・・・仁希。」
仁希「ガキが一丁前に俺の名前呼んでんじゃねぇよ。」
ケタケタと笑いながら言う仁希。
仁希「お前、家は?」
怜「ない。」
仁希「親は?って、家ないからいねぇか。何でここにいんだ?おサルは人と仲良くすんの嫌いなはずだけど?」
怜「・・・猿比古に拾われた。」
間が空いて、
仁希「ギャハハハッ!!マジかよ!!」
その声で、猿比古はパチリと目を覚ます。
猿比古「・・・!!」
仁希「よぉおサル。お前、おもしれーもん拾って来たな。」
ヒョイッと怜を抱え上げる仁希。
猿比古「・・・返せよ。」
仁希「お。やっぱおサルはコイツ気に入ってんのか。お前俺に似てるからなー。」
ツカツカと怜を抱えたまま部屋を出ようとする仁希。
猿比古「・・・!」
そんな猿比古を見た怜は、仁希からぴょこんと飛び降りて猿比古に抱き付く。
怜「・・・猿比古、いじめないで。」
そう言われた仁希は驚いて目を見開くが、すぐにいつもの調子に戻った。
仁希「やっぱお前おもしれぇな。気に入った。」
そう言って怜の頭をグリグリ撫でまわした。