第15章 発見
パッと振り返れば、飛べるストレインが手すりに座ってこちらを見ていた。
「屋上への扉は締まってるよ。あの二人には言ってないけどもうすぐここに来るだろうねぇ。」
一か八かで、掛けに出るか、それとも・・・。
ダンダンと階段を登ってくる音がする。
掛けに出ようか。
バッと階段を駆け下りる。
「ダーメだって。下からは来てるんだよぉ?」
階段の踊り場にある窓に全力で体当たりすれば、窓はパリンと割れた。
何も策がなかった。
30階のマンションから飛び出した。
「策もないのに、飛び出すなんて危険だよ?」
ふわりと抱き抱えられる感覚がして上を見上げれば、先ほどのストレイン。
「全く・・・貴女って人は。」
先ほどと口調が違うことに気づいた時だった。
抱き上げたストレインごと紐で縛られ、マンションに引き戻される。
「痛いなぁ〜。捕まえたのに。」
「クラウディアはよく一人の世界に入ると上に言われてるからな。」
クラウディアと呼ばれる私を捕まえた人。本名ではないのだろう。
クラウディア「痛いし〜。離して?」
「残念ながら、お前は逃げ出す癖があるらしいからこのまま連れていく。」
クラウディア「・・・はぁ?」
「上から言われててね?お前を捕まえるのも任務の一つなわけよ。」
つまり、宙に浮いていたわたし達は格好のエサだったというわけだ。さらに面倒なことになってしまった。
致し方ない。
怜「・・・アンナ、助けて。」
きっと、彼女になら届く。声が小さくたって、彼女には絶対に届く。
気付いて。アンナ。