第14章 遭遇
アンナ「・・・!」
てとてとと階段を降りてくるアンナ。
怜「・・・アンナ。」
多々良「アンナ、ミツキちゃん来てるよー!助けてもらっちゃった!」
アンナ「・・・ミツキ。」
アンナは怜に駆け寄り抱き付く。
怜「久しぶり、アンナ。」
アンナ「変わってない。」
怜「まぁね。」
アンナ「無茶、ダメ。」
怜「気を付けるね。」
トントンと降りて来る音がして、弾かれるようにそっちを見た。
赤の王、周防尊。
生で見たのは生まれて初めてだ。
怜「・・・ぁ・・。」
アンナ「・・・ミコト。綺麗な、赤。」
赤の王。アンナの好きな赤をきっと全身に灯しているのだろう。私には見ることが出来ないけれど。
尊「・・・増えてる。」
草薙「追いかけられてる十束を助けてくれてんて。」
尊「・・・そうか。」
それだけ言うと、周防尊はどかりとソファーに座ってタバコをふかし始める。
怜はジッと見てしばらくしてからフイッと見るのをやめてジュースを飲む。
草薙「・・・ホンマ、凄い子やな。」
ジュースを飲み終わって、もう帰ろうとして椅子から降りる。
アンナ「・・・もう、帰る?」
怜「うん。ありがと。また来るね。」
アンナを撫でると怜は入り口に向かう。
草薙「家近くまで送っていくで。ちょっと待ちな。」
怜「いい。帰れる。」
草薙「でもそろそろ日暮れるし、危ないやろ?」
怜「大丈夫。」
そう言い放つとカランカランッと扉を開けて走って行った。
多々良「・・・草薙さん、あの子、この近辺で見た事ある?」
草薙「いや、あらへんけど・・どないしたん?」
多々良「逃げてる最中、あの子迷う事なくぐんぐん進んでって。ビル飛び移ったりとかさ。最後にここの前に着いたのはまぐれかもしれないけど、もしかしたらこの辺に住んでるんじゃないかなーって。」
草薙「・・・あの子、あんま見ぃひん服装しとる。有名なブランド品や。この辺の子ちゃうよ。」
多々良「そっかー・・・。あの子、謎だよねぇ。」