第14章 遭遇
この人はいつも逃げ回ってるんじゃないかと思う遭遇の仕方をする事2回目。
今回は抱き抱えられるのではなく、手を引かれて一緒に走っている。すでに体力をかなり消費したのだろう。
多々良「ごめん!ちょっと体力が持ちそうになくって・・・。」
あぁ、やっぱりか。
「待てやゴルァァァアア!!」
何より、後ろから追いかけて来てる男の人達凄い物騒。
怜「・・・こっち。」
十束「え?うわっ!?」
これは十束の体力を考えれば、隠れながら赤の王の本拠地に戻るしか方法はないだろう。
怜は十束の腕をグイッと引っ張りながら路地裏を走り出す。
少女に手を引っ張られて走ったり、隠れたりする事数十分。
とあるビルに逃げ込んだ俺と少女。
後ろからはまだあの男たちが追いかけて来る音がする。
少女は戸惑う事なく屋上へと続く扉を開ける。
ヘリポートがある辺り、まだ古くはない建物なのだろうと想定出来た。
「・・・。」
少女は柵をよじ登る。
多々良「ちょ、危ないよ!」
少女は反対側に降りると、タンッと軽やかに隣のビルの屋上に飛び移った。
多々良「・・・えぇえっ!?」
怜「早く。」
慌てて柵を飛び越えるが、そこから見えるのは数十メートル下のコンクリートの床。
隣のビルとは3メートルほど離れている。少し隣のビルの方が高さはないものの、これは失敗すれば命の危険もある。
多々良「・・・えーと・・。」
正直、怖い。
怜「飛べる。」
少女は迷わずに言う。
怜「怖くない。私が手を伸ばす。」
自分よりも1回り以上幼いであろう子供に励まされる日が来るとは・・・。
けど、その言葉はなぜか安心できた。
柵を思い切り蹴って宙に飛ぶ。
手を伸ばされた少女の手を掴むも、やはり飛距離が足りない。落ちると思った。
が、少女が自身の全体重を使って勢いよく引っ張ってくれた。
ペシャッと音がして、ビルの屋上になだれ込む。
た、助かった・・・!