第14章 遭遇
ひことなかなか会えなくて、こっそり夜中にセプター4に出入りをして仕事を手伝ったりなど始めてはや1年とちょっと。
夏真っただ中の8月。
怜「・・・ひこ、大丈夫かな・・。」
今日は早番だというので夕方から出かけようと予定をしていたのだが、何でもストレインの子供が門の前に捨てられていて一日仕事にならなかったらしく、仕事が終わらないためまたも残業。
その一報を電話でくれたのだが、猿比古の機嫌はすこぶる悪かった。すぐにでも行って宥めたいところだが、今は特務隊の人々全員が屯所にいるらしく、きっと今行けばバレる。
電話で宥めたのでまだマシにはなっていると思うが、それでも少し不安だ。
猿比古と一緒に出掛けられないと分かると怜は路地裏に入って子供の姿になる。
轟音が聞こえてそちらを振り向けば、前にもあったような。
金髪の男が多くの男たちから逃げている。
怜「・・・。」
またお前か。十束多々良。
十束は逃げていた。
たまたま写真を買った古いカメラで撮っていたら、たまたま取引中の画像が写り込んでしまい、そのデータを壊そうと必死に追いかけて来る連中を巻こうと十束は必死に走っていた。
すると、大通りに面する細い路地で、その子に出会った。
多々良「わわっ!どいてどいて!!!」
ドンッと勢いよくぶつかり、子供が勢いよく尻もちをついた。
多々良「ご、ごめんね!ちょっと逃げてて・・・あれ?」
この子、まさか。
多々良「前に、一緒に逃げた子?」
少女の十束を見る目で、十束は確信する。
あぁ、この子だ。