第12章 親子
白いロングワンピースを着て水色のカーディガンを羽織っている怜。
その隣には普段着のようなダボッとしたストライプのセーターを着ている伏見。
その正面にはニコニコ笑顔の怜の両親。
母「怜、伏見くんて凄いわね。」
怜「そう?」
母「セプター4のNo.3。ストレインの管理をしてるんでしょう?仕事は大変そうねぇ。」
そこでふと気付く。
満月財閥総帥である怜の両親が、何故セプター4の存在を知っているのか。
母「ふふっ。私の母はね、ストレインだったのよ。」
伏見「・・・なるほど。」
ならば、知らないはずもないか。
朝食を終えて、怜は母親と出掛けて行った。どちらかと言うと、母親が怜を連れ出していた。
伏見は、怜の父親と二人きり。沈黙が伏見には耐えられなかったが、自分はどうする事も出来ないのでそのまま時間だけが経つ。
父「・・・君は、怜とはいつ出会ったんだぃ?」
伏見「・・・俺が5歳の頃、公園で雨の中座り込んでいたのを見つけました。」
父「・・・。」
伏見「それから1年は、家で暮らしました。・・・その後は、貴方達と一緒です。」
父「それでも、君は怜を思い出した。・・・ありがとう、思い出してくれて。」
にこりと笑う父親。
伏見「・・・。」
父「仁希の事は嫌いか?」
突然アイツの名前が出てガタッと立ち上がってしまった。
なぜ、アイツの名前が?
父「・・・仁希は歪んでいたからね。いい思い出はあまりないだろう。」
伏見「知り合いだったんですか。」
父「友達、でいいのかな。怜も会った事がある。残念ながらまだ一歳にも満たなかったから、覚えてはいないだろうけどね。」
なら、あの時アイツはすでに怜を知っていた?親と知り合いだったから、怜を大事にした?初めて怜に会った時にお気に入りになっていたのだとしたら・・・。
“気に入るものは一緒だなぁおサル。”