第12章 親子
母親「あ、そうだ。二人ともうちに来なさい!話も聞きたいし!」
伏見「え?あ、いや、仕事が・・・。」
母親「そんなものこっちから連絡入れるわよ。」
初めての事に戸惑う伏見。
母親「怜、明日私達の家でこの子と一緒に過ごすか、部屋でこの子をじっと待ってるのどっちがいい?」
怜「お母さんと行く。」
そこは即答しなくていい。と心の中で思った伏見だが、やはりそう断言してくれるのは嬉しい事ではある。
母親「じゃあ決まり!乗って乗って!」
言われるがままに店の外に出ればリムジン。
こんな道にリムジンで入ってきたのかと思うと運転手哀れだな。
もう日付が変わる頃だというのに、怜がウキウキしているのが目に見えてわかる。
秘書「お、奥様?明日のお二人のご予定は・・・??」
「「全てキャンセル!我が子達に愛を注ぐのが先!!」」
夫婦とはこういうものなのだろうか、などと見当違いな事を思っていた伏見だった。
翌日、本当に仕事を休みにされた。
副長からメールが入っていたので見てみれば、
事情は詳しくは知らないが、粗相のないように。
仕事は増やさないように努めるわ。
という文。
返信は返さずにそのまま端末を投げる。
「ひこー?起きた??」
部屋に入って来たのは女性。
腰まである銀髪、見覚えのある顔立ち。
しかし、自分の知っている彼女は少女だったはずだ。
伏見「・・・怜?」
怜「ん?なぁに??」
入って来た女性は、怜だった。
伏見よりは低いが、女性にしては高いであろう身長、細身でありながら、出るべき場所はしっかり出ている。
これが、本当の怜か。初めてみたな、などと思いながら服を着替える。
こんなにゆっくりとした朝は、久々だ。