第11章 捜索
伏見「・・・は?」
怜「一回、帰るよ。」
食事中、怜は突然そう言った。
伏見「・・・何で。」
怜「名字、伏見に変えてこようと思って。」
好き嫌いの多い伏見の要望で選んだお店はラーメン屋。
二人でラーメンをすすっている。
伏見「・・・なぁ、怜。昔、親がいないから名字もないって言ってたよな。本当の名字、何だったんだ?」
怜はじっと伏見の目を見ると、諦めたように溜息をついた。
怜「満月って書いて、みつきって読むの。満月 怜。」
聞かないわけのない名字。なぜなら・・・。
伏見「・・・満月財閥・・。」
怜「・・・懐かしいなぁ。私、もう財閥の子じゃないから。」
満月財閥、それは日本では國常路大覚の次に権力を持つとされている財閥。
世界ではそれ以上に顔の広い満月財閥。
伏見「・・・やっぱ、いいとこの子だったのか、お前。」
怜「私、3歳で満月辞めてるんだから関係ないと思うけど??」
それほどの財閥から切り離される怜は、一体何者なのか。
そこで、ふと気づく。
伏見「・・・新手か。」
生憎、隊服ではないのでナイフしか持っていない。
怜はと言うと、とても驚いた顔をしていた。
怜「・・・な、んで・・。」
店に入って来たのは黒いスーツの集団。
その真ん中にいるのは夫妻だろうか。
伏見「・・・?」
どことなく、怜に似ている?
怜「おか、あさん・・・お父さん・・。」
母「やっと見つけたわ。怜。」
母と呼ばれた女性はにこりと笑った。