第11章 捜索
声が聞こえる。
ひこと一緒にいた子の声。
あぁ、十束多々良を連れて帰るために来たのか。
なんて当たり前な事に気付くと、十束の方を向く。
怜「ありがと、楽しかった。」
怜はそのままタンタンッと生き残っている床に軽やかにジャンプしながら行ってしまう。
十束「あ、送っていくってば!!」
怜「平気。迎えきてる。」
きっと、ひこは彼を目敏く見つけているだろう。だって、ひこだもの。
だから、ひこも近くにいるはず。
彼に会わないように屋上に出て、下をきょろきょろと見回す。
見慣れた髪型、見慣れた私服を見つけてそこを目掛けて飛び降りる。
上から何かの落下する音がして、上を向くと飛び降りてきている怜とぬいぐるみ。
ボスッとキャッチすると、嬉しそうに笑う怜。
伏見「ふらふら歩き回ってんじゃねぇよ。」
怜「ごめんなさい。」
しゅんとする怜。
伏見「・・・晩飯、食ってないだろ。」
そう言って怜を抱えたまま歩き出す伏見。
怜「ひこは?」
伏見「まだ。どっかで食べて帰ろう。」
怜はにこりと笑って頷いた。