第10章 騒動
伏見は、ようやく寮に戻って来た。
すでに三時を回っており、さすがにほかの人々は眠っていた。
自分の部屋の扉をあけ、部屋の電気をつける。
もぞもぞと、自分の使っている方のベッドの布団が動いた。
怜「・・・おかえり。」
むくりと布団から起き上がった怜はもぞもぞとベッドから降り、キッチンへてけてけ歩いていく。
伏見は隊服脱ぎ捨て、シャワーを浴びようと荷物を纏める。
伏見「・・・そういや、怜風呂は?」
ここの寮は部屋にお風呂がついていない。それ故に、昨日は伏見が脱衣所で誰も来ないように見張っていた。だが、怜はすでにパジャマである。
怜「女子寮のお風呂、誰もいなかった。」
伏見「・・・本館から女子寮行ってお風呂入ってここに戻って来たってことか。」
そう言えば、頷く怜。
そしてハッとした顔でこちらを見る。
やはり伏見の書類を片付けたのは怜だった。
伏見「ったく・・・。部屋で待ってろって言っただろ?」
怜「全然帰ってこないから寝てると思ったの。そしたらほんとに寝てるし。」
20分ほどの仮眠の予定だったのだが、つい寝てしまったので怜への反論が見つからない伏見。
怜「とりあえずお風呂入っといでよ。ココア用意しとくから。」
あぁ、やっぱり怜の側は落ち着く。