第10章 騒動
夜になり、部屋の外がまたガヤガヤし始めた。きっと、ほかの人達が部屋に戻ってき始めたのだろう。
しかし、怜は伏見はしばらく帰って来ないだろうと予測した。だから、怜は部屋の電気を付けずにただ端末の光を頼りに部屋の中をペタペタ歩き回った。
日付が変わっても、伏見は戻ってこなかった。
怜は少し不安になっていた。
それ故に、部屋を抜け出した。
流石に日付も変わる時間帯、誰も廊下を歩いてはいない。監視カメラにも自分は写らないように細工してある。
パタパタと新品の靴を履いて廊下を駆ける。
セプター4の本館に着き、少し歩き回ると一部屋だけ光がついていた。
顔を覗くと、そこには伏見。周りを見渡して、誰もいないことを確認してから伏見に近寄る。
案の定、伏見は机に突っ伏して寝ていた。
やっぱり、と思いながら部屋から持ってきた膝掛けをかけ、隣の席に座る。
机を見れば書類の束があり、まだ仕事が終わっていないのがわかる。数枚見てみると、他部署の人の記入漏れや訂正などがペンで書き殴られている。
これを作り直せばいいのか。
早朝二時過ぎ、伏見はぼうっと目を覚ます。
そういや、まだ仕事が残ってて・・・。
意識がはっきりすると、伏見はガバッと飛び起きる。
ハラリと何かが落ちて、見てみれば先日怜に買った膝掛け。
机を見れば、切り崩された書類。
残っていた書類、すべてが終わっていた。
「おや、仕事熱心ですね?伏見くん。」
伏見「・・・アンタ、まだ起きてたんですか。」
宗像「部下が仕事をしているのに寝るわけにはいきませんからね。」
ピラリといつの間にか出来ていた書類の一枚を徐に見やる。
宗像「・・・相変わらずの仕事の早さですね。感心します。」
どうやら自分でやったと思われているようだ。つまり宗像室長は怜に会っていない。ホッと心の中で安堵する。
宗像「あぁ、そういえば。」
ふと思い出したかのように云い出す宗像。
宗像「寮に子供の霊が出たそうです。」
伏見「・・・は?」
宗像「皆さん騒いでましたよ。今なら伏見くんも見れるかも知れませんね。丑三つ時ですし。」