第10章 騒動
翌日、怜が目を覚ますとすでに伏見はいなかった。
朝七時である。
怜はいそいそとベッドから出て、昨日伏見に買ってもらった服を着る。
今日は部屋から1日出ない予定なので昨日のうちにご飯は一応確保してある。
ドタバタと外が騒がしくなってきた。
何事かと思えば、伏見からメールが入る。
馬のストレインが逃げ出した。寮には行ってないだろうが気をつけろ。
動物にもストレインはいるのかと驚いたところ、突然部屋の扉が開いた。
「やっべー上着忘れた!!」
まだこちらには気がついてない。息を殺して、キッチンの影に潜んだ。
「・・・やべ、ここ俺の部屋じゃない。」
入ってきた男は自分の部屋ではないと気付くと慌てて出ていった音がした。
ほっとため息をつき、影から出る。
これがいつもの事ならば、きっとひこはイライラするのだろうなぁと思いながら端末をいじる。
ひこ、大丈夫かな・・・。