第2章 家
雨が降り出した。
少女は公園のブランコに座って、俯いていた。
帰る場所、ないや。
少女はただ、雨に打たれていた。
閉じ込められるのも、検診と言われて痛い事をされるのも、彼女はもう耐えられなかった。
唯一の心の支えであった両親も、自分の事を覚えてはいなかった。
少女はもう、頼る所がどこにもなかったのだ。
このまま、どこかで死んでしまおうか。
そんな事を思った時だった。
突然、雨が自分に当たらなくなったのだ。
雨が降ってる音がするのに。
目の前に人が立っているという事を理解するのは早かった。
「・・・。」
顔をあげれば、知らない男の子。
恐らく同い年くらいの少年。
怜「・・・何・・。」
「・・・何で濡れてんの?家帰れよ。」
怜「・・・おうち、ないの。」
そう言ったきり、怜はまた頭を下げてしまった。
怜「君は帰りなよ。濡れちゃうし。」
そう言う怜を他所に、少年は怜の腕をグイッと引っ張ってズンズンと進みだす。
怜「え、ちょ・・・!」
「いいから来い。」
それっきり、少年は何も話さなくなってしまったので、怜も何も言わなくなった。