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白いアリスは彷徨う

第9章 子供





怜を下ろすと、アンナと二人で二階に上がっていった。


伏見は一緒に上がるわけにもいかず、端の方で壁に寄りかかって怜が降りてくるのを待つことにした。






草薙「伏見、何か適当に入れたるさかい、こっち来ぃ。」




嫌、とも言えず、カウンターの席に渋々座る伏見。



草薙「あの子、どないしたんや?アンナと一緒におったとか?」
伏見「・・・櫛名アンナが彼女と繋がったようで。屯所前に来ました。」
草薙「ほな、伏見とアンナであの子迎えに行ったんやな?」
伏見「そうですけど。」
草薙「ほならええわ。アンナも怪我してへんみたいやし。」


ことりと置かれた暖かい飲み物。


草薙「八田ちゃんならアンナ探しに出とるよ。すぐ帰ってきて欲しいか?」



そう言われて、伏見は返す。


伏見「別にいいです。降りてきたら帰るんで。」






珍しいと草薙は驚いた。

あの伏見が、八田ちゃんと会わなくていいなんて言ったの初めて聞いたわ。


余程、先ほどの少女が重要なのか、もしくは・・・。









そうこう思案している最中に、ぱたぱたとかけ降りてくる音が聞こえ、草薙はそちらを見る。

アンナの服を着た少女がこちらを見てきょとんとしていた。




草薙「よう似合っとるで、お嬢さん。」

怜「・・・ありがと。」




そう言うなり、怜は伏見の元へ歩いていく。
伏見は伏見で、怜を抱き上げる。




伏見「服は後日返しに来ますんで。」
アンナ「別に、いい。」


アンナはじっと怜を見る。


アンナ「今度は、私がプレゼント、する。」



怜はふわりと笑って、




怜「ありがと、アンナ。また会おうね。」





伏見は怜を抱えたまま一礼すると、出ていった。






草薙「アンナ、あの子・・・。」
アンナ「施設から、連れ出してくれた。服、買ってくれた。」


それだけ言うと、アンナはジュースを飲み始めた。




草薙「(・・・ストレインか。)」





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