第8章 紅
先日は逃走したために、再び連れてこられた七釜戸の病院。
残念ながら、今回も脱走した。
バタバタと研究員が走り回っている。
そんな中、怜はのんびりと部屋の探索をしていた。
怜「・・・ん?」
1つ、鍵のかかっていない部屋。
入ってみると、幼い少女がじーーっとこちらを見ていた。
「・・・誰。」
怜「・・・怜。青い服の貴方は?」
アンナ「・・・櫛名、アンナ。」
青いロリータ服を着た少女は、紅いビー玉を間に挟んでこちらを見る。
何かがゾクッとして、怜はそれを悟らせずに喋る。
怜「ごめん、繋がるのは勘弁。」
そう言うと、アンナはハッとしてビー玉を離す。
怜「・・・色覚異常か。何色が見えるの?」
アンナ「・・・赤。真っ赤な、赤。」
貴女にも、赤、ある。
怜「・・・そうね。」
アンナはてとてととやってきて、ぴたりと怜にくっつく。
アンナ「・・・優しい、赤。」
怜「当たり前でしょう。私は研究員じゃないのよ。」
アンナの頭を撫でると、アンナの手を取って部屋を出る。
アンナ「?」
怜「赤、好きなんでしょ。赤い服にしよう。」
そう言うと、アンナは一瞬驚いたが、ふわりと笑う。
アンナ「・・・怜、いい人。」
怜「アンナは可愛いわね。」