第7章 偶然
男達が全員倒れたのを見て怜は屋上から静かに飛び降りた。
よくよく見れば、男達は自分の見た事のある人物たち。
怜「あの病院の・・。」
そいつらを平然と踏む怜。
伏見はこちらに気づいたようで、武器を持ってこちらに振り向く。
不審げにこちらを見ているのを見て、あぁ、やはり忘れられたのかと泣きそうになった。
知らない女が突然泣き出したら、ひこも困るよね。なんて頭では平然と考えられて、くるりと背を向けて歩き出す。
もう、これが最後。
あの約束は、きっと意味を成さないだろう。
「怜っ!!!」
ひこが、私の名前を呼んでくれた。
今度は、嬉しくて涙が出そうになった。
くるりとひこの方を向く。
怜「待ってる。」
あぁ、ひこに聞こえただろうか。
泣きそうで、声が震えてしまったけれど、嬉しかった。
まだ、我慢してるね。
まだ、諦めなくてもいいよね、仁希。
まだ、待ってる。ひこ。
ひこじゃなきゃ、一緒は嫌だよ。