第1章 黒い部屋
親の顔は覚えていない、と言ったらウソになる。
私が3歳の頃に、突然家に来て私を家から連れ出した。
気高い母親が泣き叫んでいたのが、今でも脳裏にこびり付いている。
いつも優しかった父親が、凄い怒ってウサギのお面に怒鳴っていたのも覚えている。
それが、私の親との最期の記憶。
それからはずっとこの黒い部屋。
検診、という物でしか部屋を出れない。
窓を開けてみれば、凄く高い建物の上の方だと分かってすぐに窓を閉じた。
部屋には時計がない。
与えられたのはこの部屋とこのぬいぐるみとこのパソコンだけ。
来た当初はずっと泣いていたけど、何も変わらなかった。
しばらくしてご飯をずっと食べなかったら、部屋に監視カメラを付けられたからやめた。
長い事寝れなかった時は、薬で無理やり眠らされた。
でも、もう嫌なの。
お母さんに会いたい。お父さんに会いたい。
こんな部屋、いたくない。
唯一の出入り口は鍵がかかってて出れない。
あるのは窓とお風呂場を繋ぐ扉。
お風呂場の通気口。
窓を開けると、風が入って来る。
少女は、窓から飛び降りた。