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白いアリスは彷徨う

第5章 誕生日










猿比古は、怜と共に朝食を食べながらふと思った疑問を口にした。






猿比古「・・・怜の誕生日は?」



怜「んー?忘れたー。」



もぐもぐと、食べながらそう言う怜。






怜「お父さんとお母さんと一緒にいなくなってからお祝いされなかったし・・・随分前だし・・忘れちゃった!」




ニコニコとしながら言う怜に、チクリと何かが刺さる感覚がした猿比古。




仁希「んじゃ、今日でいいんじゃねぇの?」

怜「あ、仁希。」
猿比古「・・・。」






何でいるんだ、と不穏げな目で仁希を見る猿比古。




仁希「飯食ったら出かけるぞ。」
怜「?何処にー??」
仁希「お前の誕生日プレゼントに決まってんだろ。ついでにおサルも。今年はまだ買ってねぇしなー。」
猿比古「・・・は?」





去年までは、目が覚めてリビングに行けば、誰もいない部屋に1つの箱が置かれていた。バースデーカードも何も添えられてなかったけど、自分が箱を開けて中身を持って行っても何も言われないから、1年に1度のそれを少し気にはしていた。しかし、それは母親か、使用人の仕業と思っていた。それが、父親だったという事を今初めて暴露されたのだ。




仁希「怜、今年から今日がお前の誕生日な。」
怜「・・・誕生日・・。私の、誕生日。ひこと一緒。」
仁希「双子なんだから同じ日でいいんじゃねーの?」



何気なしに仁希から発せられた言葉は、猿比古を嬉しくさせた。



怜ともっと近くなれた気がして。






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