第29章 崩壊
怜「・・・ごめんなさい。」
そう呟くと、緑の塊は怜の手元へ飛んでくる。
比水流はその場に崩れ落ちた。
クロ「な・・・!」
怜「・・・。」
グッと腕を天に伸ばす怜。
すると、青い光、赤い光、灰色の光が怜の元へ降りて来た。
怜「・・・王なんて、いらなかったのよ。」
シロ「女王・・・!!待って!!それ以上力を使ったら!!!貴方のおばあさんと一緒になってしまう!!!」
ネコ「おばあさん?」
クロ「どういう事だシロ。」
怜「・・・白銀の王。これが、女王なの。」
くるりとシロの方を向く怜。
怜「後ろ指をさされようとも、批判されようとも、自分の命を落とそうとも・・・これが、女王の役目。」
ツゥ・・・と怜の頬を伝う涙。
怜「“ありがとう、ヴァイスマン。貴方のおかげで私は一人じゃなかったわ。”」
シロ「・・・!玉依!!!!」
バッとシロは怜に駆け寄る。が、それよりも先にシロの身体から白い光が怜の方へと飛んで行った。
怜「地上で、平和を掴みなさい。第1王権者、白銀の王。アドルフ・K・ヴァイスマン。」
怜から光が発せられ、シロ達は動けなくなった。
けれど、シロはわずかに目を開いて、見た。
誰かが、怜を抱きしめている光景を。
視界は、暗転した。