第28章 帰還
ザクッ!!と、何かが斬られる音が響いた。
流「な・・・!」
怜「・・・永遠に閉じ込める・・?貴方にそんな事が出来るとは思えないけど。」
怜の右手にはナイフ。猿比古の持つナイフ。
自身の髪を切り落として比水流と距離を取る怜。
掴まれていた右側の髪だけ、肩までバッサリなくなっていた。
月「じょ、おう・・・。」
怜「お前に私を閉じ込める力なんて、ない。」
ふわりと月を抱き抱える女王、怜。
流「・・・女王の力はどうやら厄介のようです。」
怜「・・・立てる?」
月「・・・大丈夫。」
ストンッと地面に降りた少女。
流「・・・君が俺の相手をしてくれるのですか?笑止です。クランズマンが緑の王である俺に勝てるわけがありません。」
月「バカにしないで。」
ズドォオオンッと鳴り響いた轟音。
煙が晴れ、上を見上げれば青空。
流「・・・!赤の王ですか!!」
赤の王、櫛名アンナによって地上から空けられた穴。
その上に見える、剣。
流「・・・ま、さか・・。」
バッと流は月を見る。
月「・・・ただのクランズマンが、王のいるこんな地下まで堂々と来るわけない。」
空にあるダモクレスの剣は、黄金に輝いていた。
月「・・・黄金の王、御影 月。」
ゆらゆらと揺れる黄金の炎。
シロ「・・・新しい、黄金の・・!」
流「そんなバカな・・・!王の素質を持っていた人間は全てJUNGLEに加入させたはずです!!!」
月「貴方は大きなミスをした。ストレインや黄金のクランの施設にいた人間に視点を置いた。國常路大覚には子孫がいなかったから。」
流「石盤が王を選ぶのには意味があります。血族、力、何でも構わないから特出した何かが必要です。」
月「國常路大覚は、私の祖母の弟。祖母は、女王のクランズマンになった。」
流「!」
月「祖母も母も、石盤に触れた。今まで直接なんて見れやしなかったけど、私も触れた。」
流「・・・!」
石盤が黄金に輝く。
月「第2王権者、黄金の王。私が、國常路大覚の跡を継ぐ。」