第29章 崩壊
月「女王は、返してもらう・・・!」
流「却下です!」
シロ「比水流!!君は間違ってる!!」
2対1で戦っている王達。
2とは言っても、月はまだ覚醒したばかりで1人前とは言えない。シロはシロで攻撃に向いていない。
怜「月・・・。」
仁多「あちゃー・・・でっかい穴開けられた。」
仁多と多々良の間には先ほどのアンナの開けた穴。
多々良「仁多・・・!」
ゴゥッと多々良の右腕が黒い炎に包まれる。
仁多「多々良、お前そんなに好戦的な奴だったっけ?」
多々良「仁多は女王をバカにした。だからだよ。」
仁多「どこがバカにしたっていうんだよ?あんな女王だとバレて逃げ惑いたくないからって力を使う事に躊躇して、誰かの影に隠れてなきゃ生きていけない奴。誰かが守ってくれるのが当たり前とでも言いたそうな顔してるじゃん。」
多々良「違うっ!!怜はそんな子じゃない!!」
仁多「何が違う?実際に今までに力を使った事があるのは、多々良。お前を助けた時だけだ。」
多々良「怜は力を制御してるだけ。女王の力は強大だから、抑えるのも大変なんだ。精神が安定してなきゃ、力も不安定になって本人も歯止めが効かなくなる。・・・力に呑まれそうになる感覚が、仁多に分かる?」
仁多「力に呑まれるほど、俺は弱くない。」
多々良「力を過信する人ほど力に溺れるよ、仁多。」
仁多「残念だけど、俺は自分の程度は分かってる。」
パチパチと弾く緑色の電気。
仁多「上限も知ってる。力を恐れて力を使わないよりよっぽどいい。」
多々良「自我が飲み込まれるんだよ。女王はね。」
力が強大過ぎる故に、短命である確率が高い。
仁多「・・・は・・?んなワケねぇだろ。だって・・・!」
多々良「仁多。仁多は前女王に会ってるよね。」
仁多「!」
多々良「・・・20年前に死んだ女王。当時俺が2歳だから、仁多は5歳。・・十分に話せる年齢だよね。記憶にも残る。」
仁多「・・・だから、何だって言うのさ・・。」
多々良「仁多。仁多は、前女王・・怜のおばあさんと何を話したの?」