第28章 帰還
女王。女王。
誰かが私を呼ぶ。
身体を起こしてそちらを見る。
幼い子供がそこにいた。
「女王、行こう。皆待ってる。」
怜「・・・誰?」
「月。前女王の、3代目クランズマン。」
怜「・・・貴女が?」
月「女王、志摩も琥珀も上で待ってる。」
怜「・・・なら、どうして貴女はここに来たの?」
フワッと月の被っていたフードを外す。
月「・・・志摩も、琥珀も、知ってた。」
怜「・・・!」
月「女王の力が、必要なの。」
「女王は渡しませんよ。」
月がハッとして声のした方を見れば、そこには比水流がいた。
流「女王は返しません。俺達も女王が必要だからです。」
月「・・・。」
月はギュウッと怜の腕にしがみつく。
流「・・・仁多にはこの地下に人を入れないように頼んだのですが・・仁多を倒したのですか?」
月「・・・別ルート、で・・。」
流「・・・なるほど。琥珀ですね。女王の番犬。」
流はスクリと立ち上がる。
流「女王のクランズマンは厄介なので、消してしまいましょうか。」
流の手に電流が走る。
月「・・・!」
月を隠すように前に出る怜。
流「・・・退いてください女王。」
怜「いや。」
流「貴女とは戦いたくありません。」
怜「私だって、この子を見殺しになんてしたくない。」
流「・・・仕方ありません。俺達の意見の相違を認めます。」
バチバチッと電流が走って比水流がこちらに駆けて来る。
「女王に手出しはさせないよ。」
新たな声が聞こえて、比水流は立ち止まった。
怜と月、比水流の間にいたのは白銀の王、アドルフ・K・ヴァイスマン。
今の名は、伊佐那社である。
そのクランズマンである夜刀神狗朗とネコもいた。
シロ「女王。君の名前は?」
怜「・・・怜。」
ネコ「怜!変な事されてない?大丈夫??」
ネコという少女は怜に駆け寄って心配そうに見つめる。