第28章 帰還
目を覚ますと、目の前には猿比古。
安心してむくりと身体を起こす。
「起きたぁ~?」
怜「・・・何?」
目線の先には仁多。
仁多「仲良しだね~。」
怜「・・・。」
仁多「この部屋から出ない事をオススメするかな。」
怜「・・・え?」
仁多「吠舞羅とーえっと、あぁ、白銀のクランと、青の王がこの真上に来てるんだ。」
上を指差して楽しそうに笑っている仁多。
怜「多々良も来てるんだ?」
仁多「分かる?多々良って素直でいい子だよね。」
ニコニコと答える仁多。
仁多「だから、無色の王なんかに殺されそうになるんだ。」
怜「・・・貴方・・!」
仁多「あんな崩れかけの王に負けるなんて、素直でストレートな多々良っぽいよね。」
遠くを見て笑っている仁多。
怜「・・・。」
仁多「ね、女王サマ。お願いがあるのさ。」
怜「・・・何かしら。」
仁多「何があろうとも見過ごしてよ。」
怜「・・・時と場合による。」
仁多「ありがと~。」
仁多はヘッドフォンを付けて部屋を出て行った。
怜「・・・ひこ、青の王が来てるって。」
猿比古「・・・あぁ、そうみたいだな。」
むくりと起き上がる猿比古。
怜「・・・行くの?」
猿比古「あぁ。」
怜「そっか。」
猿比古「・・・怜はどうする?一緒に来るか?」
怜「ううん。行かない。」
猿比古「・・・気を付けろよ。」
怜「ひこもだよ。」
怜はギュゥッと自分の手を握る。
怜「ミスは、許されないから。」