第28章 帰還
流「猿比古、琥珀。実はJランカーはもう一人いましてね。」
猿比古「・・・。」
琥珀「・・・それが何だっていうの?」
紫「そろそろ帰って来るはずなの。あの子、放浪癖はあるけど戻って来る子だから。」
「流~?」
流「仁多、こっちです。」
仁多「んー・・・?あ、いたいた。ただいまー。」
琥珀「・・・!」
仁多と呼ばれた男は、十束多々良に似ていた。
猿比古「・・十束多々良の実の兄、十束仁多。」
仁多「んー?俺の事知ってるの??」
くるりとこちらを向く仁多。
仁多「まぁいいやー。十束仁多。宜しくねぇ。」
怜は驚いたように仁多を見つめる。
仁多「・・・女王?」
ふわっと、気付くと仁多に抱き抱えられていた怜。
仁多「ふふっ、女王だぁ。」
ぎゅうっと抱きしめられた。
猿比古「ちょ・・・!」
仁多「・・・女王・・。」
女王と呼ぶ声がわずかに震えている。
それに気付いたのは怜と猿比古だけだった。
紫「もう仁多ちゃん。会って早々女王に抱き付いてズルいわよ。」
仁多「俺の特権だよ~。」
スッと怜を降ろした仁多はスクナに抱き付く。
スクナ「うわっ!何すんだよニタ!!」
仁多「久しぶりスクナ~。相変わらずヒマそうな顔してるねぇ。一緒に出掛けよっか?」
スクナ「ゲームしたいんだけど!」
仁多「帰ってきたらしてあげるよ?」
スクナ「・・・わかった。行ってやるよ!」
仁多「ふふっ。じゃあ出かけてくるねぇ~。」
スクナを抱え上げて再び出て行く仁多。
流「仁多、次は貴方も来てくださいね。願望です。」
仁多「ん~・・・?いいよー。機嫌いいから~。」
怜「・・・。」
きゅっと猿比古の腕に抱き付く怜。
猿比古「・・・。(あの人よりマイペースすぎるだろ・・。)」