第27章 交差
猿比古がやってきてから、怜は部屋を出るようになった。
正確に言うと、猿比古が怜を連れて歩き回るようになった。
そんなある日、猿比古は仕事のために一人で出て行った。
怜は部屋でボーッとしていた。
「随分と猿比古に肩入れしているようですね。不満です。」
やって来たのは比水流。
流「俺とは全然話もしてくれないのに、何故です?」
怜「・・・ひこは、王様じゃないから。」
流「なるほど。しかし、それでは紫やスクナも王ではありませんよ?」
怜「御芍神紫は性格が合わない。普通の子供は苦手。」
流「スクナは普通の子供ではありません。」
怜「大人しい子がいい。」
フイッとそっぽを向いた怜。
流「・・・女王。」
ハッと気付けば、比水流が目の前にいた。
流「俺に力を貸してください。」
怜「・・・何故。石盤があるのに私は必要ない。」
流「ここ数日、石盤にコネクトは出来ますが情報を読み取れません。不明です。」
怜「繋がれるならいいでしょ。力貰えるんだし。」
流「女王、何か石盤に仕掛けていませんか?」
怜「いいえ。」
流「・・・そうですか。わかりました。」
スッと戻って行く流。
流「女王、彼がこちらに気付いたようです。」
その言葉に怜は思わず流の方を向く。
流「その内、ここに乗り込んでくるかもしれませんね。吠舞羅を連れて。」
そう言い残して流は去って行った。
怜「・・・多々良・・。」