第27章 交差
怜「・・・嫌。」
紫「・・・そう。まぁ、そんな急に許可を貰えるだなんて思ってなかったわ。」
スッと離れていく紫。
紫「でも、あまりに焦らすようなら・・・分かってるわよね?お嬢様??」
多々良に、また手を出すという事なのだろう。
白銀の王が言っていた。
無色の王をそそのかしたのは緑の王だと。
多々良が殺されそうになったのは緑の王のせいなのだ。
その事実が、どうしても怜の中で引っかかった。
逃げ出すなんて出来ないのは分かっているのに、従いたくもない。
多々良に手を出した連中に、手を貸す義理はない。
紫「雑炊持ってくるわね。しばらくは起き上がらない方がいいわよ。ずっと寝てて筋肉も衰えているでしょう?」
起き上がるのもしんどかったのは筋肉が減っていたからなのかと気付いた怜は、一人で逃げ切るのは絶対に無理だと確信した。こんな状態では日常生活を送る事さえ危うい。
怜「・・・そう、みたいだね。」
紫「仕方ないわ。貴女凄い高熱でうなされてたもの。」
そんなにひどかったのか。なんて他人事のように思う。
紫「熱が下がったからって安心しない方がいいかもしれないわよ。熱なんて全然出さないから詳しい事は分からないけれど、環境も変わっているのだし、何か起こっても大変だもの。」
環境の変化は間違いなく緑のせいだと思うが、あえて口に出す必要性も感じなかったために何も言わない怜。
紫「今度暇つぶし出来るもの買ってこないといけないわねぇ。考えておくわ。」
そう言いながら部屋を出て行った御芍神紫。
怜「・・・ひこ・・。」