第26章 接触
多々良「これ・・・っ!!」
灰色の王は多々良に銃を向ける。
「悪いが、お前さんにも来てもらおうか。」
怜「多々良・・・。」
多々良の手をギュッと握る怜。
多々良「・・・わかった。その代わり、彼女には手を触れないでね。」
「おーおー・・ま、困りはしないしなぁ。いいぜぇ?」
ひょいと怜を抱き抱える多々良。
多々良「・・ごめんね、怜。ちょっと寒いかも。」
怜「・・・へーき。」
伏見、気付いて。
パァンパァンッと聞こえる銃声。それに剣の振るわれる音が聞こえる。聞こえるだけでこの霧の中では何も見えない。
多々良「・・・ここ、石盤の部屋だよね・・。」
宗像さんとさっきの灰色の王がいるのなら、アンナもいるはず・・・!
多々良「アンナ・・・!!アンナッ!!!」
気付いて、アンナ・・・!
「・・・タタラ・・?」
フッと霧が晴れた。
アンナと、白銀の王と目が合った。
アンナ「!怜っ!!!」
アンナは白銀の王の元を離れてこちらへ駆けて来る。
シロ「アンナ!!」
パァンッと聞こえた銃声。
アンナと俺達の間に放たれた弾。
イワ「おいおい、お前らは逃がさないって言ってんだろ?やっと見つけた女王だ。」
宗像「・・・女王、だと・・!」
全員の視線が多々良に向く。
多々良に抱かれた女性。ぐったりとしていて荒い息が聞こえてくる。
シロ「あの人が・・女王・・・!」
アンナ「怜っ!!」
構わずにアンナは多々良に駆け寄る。
多々良「アンナ、やっぱり知ってたんだね。」
アンナ「・・・ごめん、タタラ。でも、怜は、守る。女王だからじゃない。怜は、私を守ってくれた。だから、私も・・・!」
怜は意識が朦朧としていた。
体調不良に加えて体力を奪われる器具。
怜には時間がなかった。