第26章 接触
気付けば夜。外は何やら騒がしい。
怜の目がふと開かれた。
多々良「ごめんね、うるさかった?」
怜「・・・何か、来る。」
多々良「・・・え・・?」
怜の体調はよくなっているようには見えず、むしろ悪化しているようにさえ見えた。
そんな怜はむくりと起き上がり、ジッと扉の方を見る。
多々良「・・・草薙さん、とかじゃないのかな・・?」
バンッと蹴破られた扉。
「・・・うわぉ。流の予想通り、地図にはない隠し部屋かよ。」
多々良「・・・!!」
知らない少し年老いた人物。流とは、きっと緑の王、比水流の事だろう。という事は、この人はJUNGLEのJランカー。
「しかも、その嬢ちゃんの目元の模様・・間違いねぇ。嬢ちゃんが女王だな?」
多々良「!(バレた・・・!!)」
「ベッドの脇で座ってる青年は十束多々良で違いないしなぁ・・・。嬢ちゃん随分体調悪そうだな?」
ツカツカとこちらへやって来る男。
怜「・・・の・・王。」
多々良「・・・え?」
怜「灰色、の・・王・・・。」
そう怜がポツリと呟いたのを多々良は聞き逃さなかった。
灰色の王。一人だけ思い当たる。ダモクレスダウンに巻き込まれ死亡したと思われていた灰色の王だ。遺体は見つからず、結局行方不明扱いになっていたはずだが、まさか緑のクランの元で生きていたとは。
「嬢ちゃん、体調悪いのに悪ぃなぁ。」
いつの間にか多々良の正面にまで来ていた男。
多々良「!」
怜「た、たら・・・!」
怜は多々良へ手を伸ばす。
が、その手は多々良に届く事はなく、カチャリと音が鳴った。
ハッとして腕を見るが時すでに遅し。
異能抑制具が取り付けられていた。
怜に付けられたものは、性能がどの抑制具よりも強いと言われている代物だ。しかも自分では外せず、使用されている本人の体力を徐々に奪うものでもある。