第26章 接触
カーテンの隙間から光が差し込む。
あぁ、もう日が昇ってしまったのか。
ボーッとその光を見つめる。
コンコンッとノックのあと開かれる扉。
多々良だ。
多々良「怜?朝ごはん食べる?」
怜「・・・ううん・・。」
多々良「・・・怜?」
そのままクラリとして座っている椅子に全体重をかけてしまう。
多々良「怜!?」
様子がいつも以上におかしいと感じた多々良は怜に駆け寄る。
怜の身体が熱い。
多々良「だから寝てってあれほど言ったのに・・・!」
怜「・・・多々良、冷たい。」
よく見れば、顔も赤い。疲労からくる体調不良とみて間違いないだろう。
多々良「怜、今日はここで寝てよう?地図には示さないんだからここはバレないんだよね?」
怜「ん・・・。」
多々良「あー、待って待って。布団で寝て?」
怜の身体を支えながら立ち上がらせる多々良。
怜の足元はおぼつかないようだ。
多々良「伏見には後で連絡いれるから。ゆっくり休むんだよ。」
怜「うん・・。」
そのままポスリとベッドに身体を沈め、意識が飛びそうな怜。
多々良「じゃあ、タオルとか持ってくるから寝てるんだよ?」
その言葉に返事はなく、すぅすぅと寝息だけが聞こえた。
多々良「・・・静かに寝れるって事は、まだ大丈夫かな。」
多々良は部屋を出て必要な物を取りに行った。
二人は誰にも遭遇する事なく、夜を迎えた。