第25章 時間
フッと意識が戻ってみれば、真っ暗な場所。
何処かの倉庫か何かだろうか。
身体を起こしてみると、ギシッと音がなる。
ベッドの上に寝かされていたようだ。
手首を見ればジャラリと鎖が鳴る。
足枷は付いていないが、ご丁寧に首には枷がはめられていた。
幼い身体なのに体力の消耗が激しい所をみるとどうやら能力抑制具らしい。しかし、ここで幼少の姿から戻るわけにもいかないので幼少の姿のままだ。
「目が覚めたか。」
コツコツと靴を鳴らしてやってくる男。
「随分と大人しいんだな。流石、吠舞羅に所属するガキなだけある。」
怜「お望み通りに叫んでもいいよ?吠舞羅に所属してないし。」
「・・・随分威勢がいいらしい。」
怜「それで、貴方達は何したの?吠舞羅も怒らせてセプター4も怒らせたんでしょ?」
「!」
怜「連れてく時言ってたもんね?子供を人質にしていると分かれば、青服もすぐには手出しして来ないだろ。って。・・・セプター4が出て来るような事したんでしょ?」
「・・・まだ意識が落ちてなかったのか。」
怜「・・・。」
「まぁいいだろう。お前は囮でありエサだ。今夜の取引の邪魔にならんようにな。」
怜「・・・麻薬、じゃないね。連れて来る時随分手慣れてたし。」
「・・・お前の想定してる通りだな。」
怜「売る気はある?ない?」
「・・・お前、ただのガキじゃねぇな。自分が売られるかなんて普通聞かねぇぜ。」
怜「普通の子は吠舞羅に知り合いなんていないけど。」
「・・・それもそうだな。お前は面白そうだから言ってやる。今夜の取引が成功すればお前は明日売りに出されるだろうよ。」
怜「そ。」
「精々足掻け。ガキ。」
怜「・・・そうさせてもらう。」
男は気付かなかった。怜の静かな怒りに。