第25章 時間
てくてくと大きな袋を抱えて歩く怜。
怜「猫・・・♪」
嬉しそうに歩いている。
それ故に、気付かなかったのであろう。
突如、後ろから口に布を当てられた怜。
怜「!」
暴れるも、所詮は子供の姿。力を入れても相手には勝てず、意識が遠ざかる。
「コイツ、吠舞羅の連中と一緒にいた奴だ。間違いねぇ。」
「早く眠らせて連れてくぞ。」
あぁ、またか・・・。
「子供を人質にしていると分かれば、青服もすぐには手出しして来ないだろ。」
青服・・・こいつらストレインか・・。
ドサリと力が入らず、重力に従って落ちる袋。
怜の意識は黒に沈んだ。
鎌本「八田さぁん、今日バイトじゃなかったっすか?」
美咲「あ?休みだぞ??何言ってんだ??」
鎌本「え、そうでしたっけ?」
美咲「ったく、しっかりしろよな!!」
鎌本「・・・あの子、一人で帰して大丈夫っすかねぇ。」
美咲「あー・・ミツキ、家まで送らせてくれた事ねぇんだよなー・・・。」
鎌本「そうなんすねー。・・・ったく、道にどデカい袋なんか落としてんじゃねぇって感じっすよ・・。」
美咲「・・・は?袋?」
鎌本の視線を追いかけてみると、少し狭くなっている道に確かに落ちている袋。
だが、その袋はつい先ほど見なかったか?
“・・・ありがと、美咲。”
嫌な予感がしてその道に入る。
袋の中身は、先ほど美咲がミツキにあげた猫のぬいぐるみ。
そして、その傍にはミツキの抱えていたぬいぐるみ。
美咲「・・・!」
鎌本「・・八田さん、コレ・・・!」
美咲「草薙さんに連絡しろ。」
美咲はぬいぐるみを抱えあげる。
美咲「待ってろミツキ・・・すぐ行く。」