第23章 侵入
緑色のオウムがどこからともなく降りて来て御芍神紫の肩に舞い降りる。
オウム「もう戻ってきてください、紫。彼女はもう捕縛対象のクランズマンではありません。」
紫「でも流ちゃん?首の一つも下げて帰らないなんて、私の気が済まないわ。生まれたてて力の扱いきれない今なら、十分行けると思うわよ?」
オウム「ある程度の目的は果たせました。未練がましいマネはやめましょう。」
出雲「流・・!?非水流!?緑の王か!!」
草薙はアンナとネコの前に立つ。
美咲「なっ!この鳥が!?」
出雲「いや、鳥は単なる媒介やろ。緑の連中は物にいろいろ細工しよるんや。」
オウム「流石、赤の王の参謀は事情通ですね。・・・おや?」
オウムの視線は十束多々良に行く。
多々良「・・・!」
オウム「なるほど・・・。十束多々良は生存していたのですか。」
紫「あら?無色の王に殺害されてなかったかしら?」
紫の視線も十束に向く。
多々良「えーっと・・・?」
オウム「・・・実に興味深いですね。」
紫、彼を連れて帰ってきてください。プレゼントを渡す前に。
紫「・・・はいはい。分かったわよ。」
多々良「・・・!」
出雲「!十束!!逃げ!!」
アンナ「!」
紫はふわりと多々良の前に降り立った。
紫「・・・あら、可愛いじゃない。」
多々良「・・どうも・・・?」
多々良はそのままくるりと後ろを振り向いて走り出す。
紫「あらあら・・・逃げきれるわけないでしょう?」
紫は多々良の後を追う。
が、突然それは起こった。
バチィッ!!と音がして、御芍神紫は弾き飛ばされた。
紫「何・・・!?」
多々良は後ろを向いて確認する。
しかし、そこにはペンギンの人形が落ちているだけだった。
多々良「・・・!」
オウム「・・・なるほど。理解です。紫、やはり撤退です。彼はまた後日です。」
紫「・・・分かったわよ。」
そのまま彼らは緑の光に包まれて消えた。
しかし、多々良の耳にだけ入った言葉。
逃がしませんよ、十束多々良。
ゾクリと何かが震えた。