第23章 侵入
アンナがフラフラとしている。
能力が、使役しきれていない。
ふわりとそんなアンナを後ろから支える人物。
「平気平気。アンナなら、大丈夫。」
アンナ「タ、タラ・・・!」
紅い鳳凰は上へ上へと昇っていく。
美咲「・・・十束、さん・・!?」
多々良「・・・やぁ。久しぶりだね、八田。」
上で突然爆発音がした。
怜は呑気に修理費の計算を脳内で始めていた。
建物そのものの修理。セキュリティの変更。この謎に煌びやかな石盤の部屋の修繕。
あぁ、頭を抱えそうな金額になりそうだ。
そんな事を考えている間にも瓦礫は落ちて来る。
多々良が慌てて怜を抱き抱える。顔が見えないように。
多々良「怜、ボーッとしないの。怜?」
怜「・・・うわぁ、金額を考えなきゃ良かった。」
多々良「怜、緑のクランズマンが来るよ。」
怜「え、ウソ。」
怜は慌ててフードを被って石盤の部屋を出る。
どうやら緑のクランズマンに姿を見られたくないらしい。
怜が部屋からいなくなったのと同時くらいに、御芍神紫と夜刀神狗朗が降りて来た。
そのことに少しホッとしつつも多々良はその戦場を傍観していた。
自分には戦えるような力はなかったから。