第21章 眠る
猿比古がやって来たと入口にいるウサギから連絡があった。
通すように言って、怜と多々良は待っている。
多々良「伏見は、ここにも出入りしてるの?」
怜「たまにね。」
スパーンッと開かれた襖の奥には猿比古。
猿「・・・怜。」
怜「ひこ。お疲れさま。」
多々良「そっかそっかぁ。それで伏見と仲がいいんだね?」
猿「・・・というか、十束さんが生きてたの知らなかったんだけど。」
怜「教えてなかったから。」
多々良「怜ちゃん、優しいから俺の事心配してくれたんだよ。万が一にも俺が生きてるのが無色の王にバレたら・・・ってね。結局、バレてもう1度殺されかけちゃったわけだけど。」
猿「・・・そーですか。」
猿比古は怜を膝に乗せて十束の話を聞いている。
怜「ひこ、学園島の件は終わった?」
猿「あぁ。今日書類纏め終わったとこだ。・・・怜が修繕費を出したおかげでお咎めもなにもないらしい。」
怜「学園祭はめちゃめちゃになっちゃったけど。」
多々良「怜ちゃん、そういう仕事は凄い早いよねぇ。」
今は春を目前にした季節。
短いようで、長かった。
あの学園島での出来事から約4カ月も経っている。
怜「・・・ひこ、眠い。」
猿「ん、寝るか。・・・十束さんは?」
多々良「ん?俺は勿論別室をウサギが用意してくれてるからそっち使うけど?二人の邪魔なんてするつもりはないからねぇ。」
怜「・・・多々良も、一緒。」
多々良「・・・え”。」
怜「一人、まだ怖いでしょ。」
多々良「!・・・何だ、バレてた?」
苦笑いを浮かべる十束。
怜「・・・3人で寝よ。疲れた。」