第7章 彼の本心
私と猫の追いかけっこは結構続いた。
そしてその間、私の嫌な想像は次々と現実になっていく。
猫は通りすがりの人の本心さえもズバズバ言い当てる。
それは物を売ってる店員さんから、告白しようとしている学生まで様々。
そしてその驚愕は、怒りへと変わるのだ。
そして今。
「……何で私まで……っ!!」
「待つザンス、!!説明してもらうザンスよ!!」
「私は関係ないの…!!」
私と猫はイヤミさんを筆頭とする大量の人々に追われていた。
イヤミさんなんか3回も猫に本心を見破られていたから、その怒りも大きい。
そんなに嘘つくなよ。
「…もう、限界…っ!!」
元々そんなに体力があるわけじゃない。
追いかけられる手前から猫を追いかけていたのだ、人並みの私の体力は最早限界に近づいていた。
イヤミさんが私を見た瞬間、私が犯人みたいなことを叫ぶから止まったら間違いなく追いかけてきている人たちにフルボッコされる。
それは嫌だ。
しかしそのエンドも近い。
「……っ、」
「ちゃん、こっち!!!」
「っ?!」
その時、猫が突然裏路地に飛び込み、何者かの腕が私も引きずり込んだ。