第7章 彼の本心
「お邪魔します、おそ松いる?」
「あ?じゃん。どしたの急に」
「…十四松、どうしたの?何かあった?」
「…あー、それね」
名を呼んだ青年はちょうど廊下を歩いて居間に入ろうとしているところだった。
本来ならここで正座させてやりたいところだったのだが、十四松の方が気になってそちらを優先する。
思い当たる節があるのか、おそ松は私に中に入るよう促した。
「こんにちはダス」
「…どなたですか?」
「お前初めてだよな、こいつはデカパンっていうんだ」
「博士ダス」
「ロクでもないからあんま関わんなくていいよ」
「失敬ダスね!!」
居間には見慣れぬ人がいた。
白衣を着ていたから博士という肩書きにも納得する。
しかし失礼だが頭がよさそうにはとても見えない。
チョロ松の言葉に憤慨していたデカパンさんだが、十四松が猫を追って走って行ったという話を聞くと少し真面目な顔になった。
「やっぱりあの薬は渡すべきじゃなかったダスね…」
「一松が悪いんだよ、別にお前は悪くないって」
「望んだ結果がこれっていうのもキツイけど…」
一松?
猫を探しに行ったのは十四松じゃないか。
彼と何の関係が。
そんな私の疑問を察したチョロ松は私に事の成り行きを教えてくれた。