第6章 姉妹
珍しく夢を見た。
それは、今見ている世界が夢であると私自身が理解している稀有な夢。
夢だと分かっているのに、私を怯えさせ、震えさせる昔の夢だった。
"姉はあんなにすごい人なのにどうして妹は鈍臭いのかしら"
"…姉さんは関係ありません。ここに入れたのも私個人が評価されたからです"
"本当にそう思っているの?…私知っているんだから、あなたがこの会社に入れた理由!"
"……え?"
"どうしてそんな余計なことするの!?"
"、なんて事を言うの!"
"そうだぞ、姉さんはお前のためにっ"
"誰がそんなの頼んだのよ!私は望んでない!!"
"お願い、私の話を聞いて?"
"あなたと話すことなんてないわ!……姉さんなんか、大っ嫌い!!"
私より優秀で、私より優しかった姉さん。
私が困っていたり悩んでいたりしたら、いつだって助けてくれたあの人が、
「!!」
「っっっ?!」
大好きで、大嫌いだった。