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この日々を謳歌せよ【おそ松さん】

第6章 姉妹



結局今日はカラ松と一緒に泊まることになった。

あんな風に引き止められたら断れなかった。







「どうしたの…?」

「すまない…何だか、凄く怖くなってな…男だというのに、情けなくて悪い」

「ううん…仕方ないよ」


ベッドに横になっているカラ松と手を繋ぎ、私は椅子を側に寄せて彼と話していた。

強く握り合っているからだろうか、彼が言葉では隠している小さな震えがこちらにも伝わってくる。


「…俺は、いつも6人で寝てきた」

「うん」

「だが、今日は1人だ。…だからか、こんなにも寒いと思う」


5人分の温もりに包まれて寝てきたカラ松。
それが、今日はない。

身体だけでなく、心もどこか寒いのだろう。





「…カラ松…」

「なっ、…?」




そんな彼に、昔の自分が重なって見えた。
家族は確かにいるのに、1人で眠ることの寂しさを私も知っていた。


だから、体が勝手に動いた。


彼のいるベッドに自分も潜り込み、そのまま彼を抱きしめる。
少しでも、温かくなれるように。



「これで、2人だよ?」

「…!…ありがとう」


カラ松は恐る恐る私の背中に腕を回し、弱い力で抱き返してくる。
それが少し嬉しくて、彼の頭を撫でた。









それにしても…。







許せないのはあの兄弟だ。
なぜ今回の1件で彼らではなくカラ松が兄弟のありがたみを感じないといけない。

あいつらは今頃ふとんで5人の温もりと共に寝ているに違いない。



「…腹立つなぁ…」

「うぐっ、、苦しい…!!」

「あ、ごめっ」


そんなことを考えていたら思わず腕に力が入っていたらしい。
ギブギブと叩いてくるカラ松によってそれに気付くと、慌てて力を緩めた。


「ごめんね、カラ松」

「いや、いいんだ…俺は嬉しいぜ、ハニー」

「……は?」

「そんなにも強く俺を求めていたんだろう?気付けなくてすまない、今から2人で愛の海へと飛び込もごべふっ」

「よかった、結構回復したみたいで安心したよ、カラ松」


少しずつ通常運転になってきたようだ。
なんだかこっちの方が安心するなんて変な気持ちを胸に抱いて、私は彼と眠りについた。
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