第6章 姉妹
「どうしたんだ?うなされていたぞ」
「あ…カラ、松?」
起き上がると自分が汗で濡れていることに気付く。
嫌な汗をかいてしまったと髪をかきあげた。
「ごめんね、心配かけて」
「いや、良いんだ。気にするな」
一体どうしてあんな夢を見てしまったんだか。
答えは分かるはずもなかったが、取り敢えず気持ちを落ち着けるために備え付けの水を飲んだ。
喉を通る冷たい水が体を冷やす。
疲れた顔をしている自分の頬を両側から叩いて気分を入れ替えようとしてみた。
「…何か悩みがあるのなら聞くぞ」
「ん、大丈夫。ありがとう」
未だに私の心配をしてくれる彼を安心させようと笑みを浮かべると、ようやく彼は大丈夫だと判断したのか静かになった。
「ごめんね、起こして。さ、寝よう」
「……」
「?なに、カラ松」
気を取り直してもう一度寝ようと再びベッドに座る。
声をかけてきた彼の方を向くと、帰ってきたのは意外な言葉だった。
「お前はお前だからな」
「…!」
「お前のことは何も知らないが、それでも関わってきた中でお前がいい奴だとわかった、だから俺逹は友達になったんだぞ!」
私はさっき夢を見ていた時、何か言っていたのかもしれない。
それを偶然カラ松は聞いてしまったのかもしれない。
真実はわからないけど、突然こんなことを言ったカラ松はすごく真剣な顔をしていた。
それが、何かを知ったんじゃないかと私に思わせた。
「…ありがとう、カラ松」
その思いが嬉しい。
たとえその言葉がなんとなく発せられたものだったとしても、私にとって大きな意味を含んでいた。
やや熱くなった目頭を抑えてベッドに潜り込む。
それに習って飛び込んできたカラ松と2人、さっきみたいに夢の世界へと飛び込んだ。
でも2点だけ違うことがある。
1つは、カラ松と私の睡眠時の距離が少し近づいたこと。
もう1つは、眠っている間ずっと彼と手を繋いでいたこと。