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この日々を謳歌せよ【おそ松さん】

第5章 兄弟



仕事は休みだったから、いつもはぐらかしている十四松と野球でもしようかなと松野家を訪れた。

「ごめん下さ」

「いえ、違います」

すると、ちょうどおそ松が玄関すぐにある黒電話での通話を終えたところだった。


「あぁ、…おはよ」

「おはよう…おそ松、まだ寝てたの?」

「当たり前だろ、まだ10時だよ?…ふぁ、お休み…」


"まだ"というか、"もう"10時ではないのか。
彼の生活リズムを聞いてみたいところではあったが、すぐ部屋へ引っ込んでしまったため、それは叶わなかった。


すると、黒電話が鳴る。


「……え」


これは出た方がいいのだろうか。
いや、この家の人間を呼ぶか来るのを待った方が良いのか。

どうしよ。


「……えっと、」

「ちゃん、避けて!」

「わっせわっせわっせわっせ、どうっっ!!」

「へ?…うわっ!!」

つい動揺した私に指示を飛ばしたのはチョロ松だった。

その言葉のすぐ後に部屋の中から十四松が飛んできて、今回はなんとか回避に成功する。

十四松は受話器を持って玄関の扉に突っ込んだ。

扉は無残にも壊れてしまった。


………え、これ修理費かかるよね。
避けないほうが良かったのだろうか。



「はい!十四松です!!」

「…どういう出方?」

「ねぇ、チョロ松。扉の修理費ってさ…」

「えっ!!カラ松兄さんが?!」


各々が各々の考えで言葉を発していたのが、十四松の言葉で1つの話題に集中する。

"カラ松"、それは彼らの兄弟の名。

確かに朝から姿を見ていないような気がするが、何かあったのだろうか。


「妖怪?!どういうことですか!!」

「…妖怪?」

「何?」

「なんか、カラ松兄さんが妖怪にされちゃった!」

「は?」


どうしたというのだろう。
彼はどこぞの科学者に捕まり、人体実験を繰り返されてしまったとでもいうのだろうか。

なんというファンタジー。


「もう1回おなしゃす!!…うん、うん!了解です」


しかしそこで通話相手から反論があったのだろう。
受話器から何やら聞こえてくる。

十四松は再び受話器を耳に当て、何やらシリアスな顔で相手の話を聞いていた。

受話器を耳から離すと普段の顔で一言。


「カラ松兄さん、海でカンチョーされて死ぬって!」


…意味がわからない。
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