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この日々を謳歌せよ【おそ松さん】

第4章 誰を養う?



帰ってきた十四松は負のオーラを撒き散らしていた。

こっそりチョロ松に聞いたところ、遠投の結果78メートルで保留扱いとなったらしい。


ホワイトボードの保留スペースに十四松のネームプレートが貼られた。



残るは4人。


そして次に動くとするならば…。



「はい!」

「はい、どうぞー」



長男、おそ松。

さて、どんなエグい手を使うのか。

思わず体も硬くなる。喉を鳴らして彼を見つめた。



「俺は母さんと暮らしたい、ちゃんとした被扶養動機があります」

「何だそれ」

私のツッコミは華麗にスルーされる。


「俺は、育ててくれた母さんに恩返しがしたい!…(中略)…そのためにも、ずっと暮らしていたいです!」

爽やかに放たれる笑顔。
白い歯が眩しいね…



なんてなるか。

流石にそれは分かりやすいぞおそ松。

こんなの保留通り越して不採用に決まって…


「あざといかな」

「そんなツッコミですか?」

「ちょーっとベタすぎ?母さん側に寄せてこられても気持ちよくない」

「待って、ダメ出しですか?保留でも却下でもなくて?」

「ちぇー、なんだよ寄せたのに」

「あんたもそこバラしちゃうの?!?!」


長男、場のかき乱し方はさすがの一言。
しかしここでそのネタばらしをして、果たしてどう扶養の枠に入り込むつもりなのか。


「思ってませんよそんなこと。本当は脛かじって生きていたいだけだよ」

「バラしすぎだ!!他の人たちに支障出るからやめてあげて!」


チョロ松に感謝の目で見られた。

あ、同じこと思ってたんだな。


「あー!!まだ甘えていたい!勝手にご飯出てきて洗濯されてる日々を過ごしたい!!」


ヤケになったのかおそ松は床を転がり始めた。

まるで赤ん坊や駄々っ子のようなそのふるまいに、開いた口がふさがらない。

長男としてのプライドも威厳もあったものではない。

まあ元々あったかどうかは分からないが。



「可愛い!合格!!」

『えぇ?!?!』

「ほんとに?!」



しかしその行動が、勝負を分けた。


「母性本能に刺さったわ。やっぱり息子ってちょっと我儘くらいが良いのよね!もそう思うでしょう?」

「そりゃ我儘なのは可愛いですけど…言ってることひどいですよ?」


おそ松のプレートが、扶養スペースに貼られた。
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