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この日々を謳歌せよ【おそ松さん】

第4章 誰を養う?



襖の前には1列に並んだ六つ子たち。

そしてその前には肘をついて彼らを品定めするように見つめる女性。


「は、初めまして…です」

「ニート達の母です、よろしくね」


なるほど、女性は彼らのお母さんのようだ。



「って、ちょっと待てぇぇぇぇ!!」

「どしたの、突然大声出して」

「君こそなぜ平然としているのかなおそ松?!実の母親が、実の息子を"ニート達"って!!そんな呼び方あり?!」

「あら、真実じゃないの」

「真実でも言っていいことと悪いことありますよ?!」



あっさりと言ってしまう母も母なら自然と受け入れる息子も息子か。

やがてその呼び方に疑問を持っているのが私だけだと気づくと、意見を言うのも馬鹿らしくなってきて結局やめた。


「で、さんはなぜこちらに?」

「一応第3者が見届ける必要があると思ってね………不正がないか」

「すみません、そもそもここで何が行われるかの説明をしていただいてもよろしいでしょうか」


その後チョロ松からされた話をまとめるとこうだ。

六つ子の両親が離婚を決意して、家をたたむことにした。
今の生活を失うことを恐れた六つ子は必死に両親を説得。
結局、母に養ってもらう人間を母に選んでもらうこととなった。

「わかった?」

「…色々突っ込みたいところはあるけど、あえて何も言わないことにする」

そしてそれを見届ける人間が私だと。



なるほど、これはチョロ松なりの作戦か。
何となく彼がこの場に私を呼んだ理由がわかった。

彼の兄弟達はニートとはいえ、一癖も二癖もある人達。
正攻法で来る可能性は低い、つまり何かしらズル賢い手を使うということ。

真面目なチョロ松は、そんな奴らが相手では不利になってしまう。


「じゃあ、お願いしてもいいのかしら?さん」


彼の懇願するような瞳に力強く頷き返す。


安心して、チョロ松。

あいつらの良いようにはさせない。


「勿論です、よろしくお願いいたします」



真面目な君のために、そして養わなければならない松野家の母のために。




こうして、面接は始まった。
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