第2章 忠告の意味
「ん、美味しい!」
「お、お前なかなか良い舌持ってんじゃねぇか、チクショー」
彼らの向かった先は屋台のおでん屋だった。
最初は普段こんなとこに入らないというのもあっておそるおそるなところもあったが、ここのおでんは美味しかった。
正直そこらのスーパーで売ってるやつより美味しい。
こんどからおでんはここで食べようと決めながら、店主であるチビ太さんとおでん談義をする。
彼のこだわりたるや半端なものではなく、ヒートアップして暴走しそうになったところを六つ子がなんとか抑えてくれた。
「そういやはなんでここに来たんだ?」
「私ですか?仕事ですよ、異動を命じられまして」
「仕事ねぇ〜」
「まぁ仕事内容は事務的なものなので、どこでやっても変わらないんですけどね」
明日から勤め始める会社は、元々勤めていた大手会社グループの傘下の1つである子会社で、どうやら何かの開発をしているらしい。
今日挨拶をした限りでは何をしているのかいまいちわからなかったけど、まぁ勤めているうちにわかるだろう。
すると、頭に1つの疑問が浮かんだ。
「あれ…皆は何の仕事をしてるの?」
『……え?』
その瞬間、まるで時間が止まったかのように皆の動きが止まった。
彼らの顔色は揃って暗い。
あれ、もしかして私悪いことを聞いたのだろうか。
「ま、まぁ色々な!気にすんな!ほら飲め飲め!」
「え?…あ、うん…」
その空気を振り払うようにわざとらしく大声を出したおそ松は私のコップにビールを注ぐ。
あまり人に言えない仕事なのかな、なんて適当な理解をした私はなみなみと注がれたビールを一気に飲み干した。