第2章 忠告の意味
「まぁ〜じでぇ〜?ってばそんなことで照れてたのぉ〜?!」
「なんでやたらと語尾を伸ばすのかな?!……そうだったら悪い?!」
こうなればやけだ。
開き直って肯定してしまえば楽になれると思ってたのだがこれが大誤算。
私が認めた瞬間全員にやにやし始めた。
なんだろうこれ、物凄く腹が立つ。
「じゃあさっきのカラ松兄さんへのやつは照れ隠しってことだよね?うわぁ、ちゃんってばかーわーいーいー!」
「う、うるさい!皆照れるでしょそんなこと言われたら!」
指摘され、からかわれることで更に赤くなる頬を抑えて彼らから顔を背けて座り込む。
もうこれ以上からかわれるのはごめんだ。
しかしこの反応も彼らにしてみれば面白いのだろう。
「いいじゃん、顔見せてよちゃーん」
おそ松が笑いをこらえた様子で私の肩に手を置く。
顔を見なくても表情が容易にわかるほど、声にはからかいが含まれていた。
やられっぱなしだと思うなよ。
その置かれた手を利き手で掴む。
「……へ?」
ぽかんとしたおそ松の気の抜けた声ににやりと口角を上がった。
こんなにも読み通りにいくとは思わなかったから、ね。
「せぇぇぇぇいっ!!!!」
「うわぁぁぁ!!!」
掴んだ手を下に引っ張り、おそ松のバランスを崩させる。
そのまま掴む対象を手から腕に広げると立ち上がり、自身の背中におそ松の体重をかけさせるように上体を屈めて彼を振り落とした。
一般に言う、背負い投げである。
わりと無理な体勢から強引に投げ飛ばしてしまったけれど、一応技は成功し、おそ松は天井を見ながら目を点にしていた。
ぱんぱんと手を払い、その手を腰にあてる。
上からおそ松を見下ろすと、彼は引きつった笑いを浮かべた。
「…こんな技も持ってたの…」
「あんまりふざけると、またやるからね?」
そう言ってにっこり笑えば彼は苦笑した。
後ろの方で他の兄弟たちが固まってこちらを見ていたから、彼らにも笑いかけてやれば、
『ひいっ』
と声をあげて更にひっ付き合う。
そんなに怖がらなくてもいい気がするけど、これでからかわれなくなるなら良いか。
もう怒ってないよ、と付け足してからおそ松を起こした。