第2章 忠告の意味
「よろしくな、カラ松ガール改め……マイハニー」
私をこの人達に巡り会わせてくれたカラ松と……
「なんてなるかあぁぁぁ!!!」
「ひぃっ!!」
手を握ってきたカラ松の腕をそのまま捻じり上げる。
案の定痛みに顔を歪める彼の顔は恐怖と戸惑いがありありと浮かんでいた。
カラ松だけでなく、他の皆も何が起きたか分からずぽかんとしている。
私も気づいたら体が動いていたのでびっくりしているのだ。
でも理由だけは分かってる。
「カラ松…私さっきなんて呼べって言った?違うよね、そんな言葉じゃなかったよね。…正しく言ってごらん?カラ松」
「よ、よろしくお願いします…」
言い直したカラ松の腕を解放し、改めて握手をする。
恐る恐る見てきた彼と顔を合わせないまま、その手を離した。
「…アイツ、意外と怒らせると怖いのな」
「…やるじゃん…」
おそ松と一松がひそひそと話している、本人たちは聞こえないよう話しているつもりらしいが…
すべて聞こえてるんですけど。
一松に至ってはなんか褒められたんだけど、どうしてだろう。
むしろ兄弟に手を上げたんだから怒られると思っていたのに。
ここでもカラ松の扱いは残念なことになっていた。
それが何だか可哀想に思えてきて、私は心の中でカラ松に謝罪した。
「ごめん、チョロ松。お水もらえる?」
「え?あぁ、いいよ」
チョロ松にいれてきてもらった水を受け取り、一気に飲み干す。
さっきから身体が熱くて、落ち着かないのだ。
その時、トド松が首をかしげた。
「あれ?どうしたの、ちゃん。
顔、真っ赤だよ?」
「…………」
途端に皆の視線が私に集まる。
自分の顔が赤いであろうことは予想がついていたし、その理由も分かっている。
ただ、それをこの人達にばれたくなかっただけ。
でも。
「もしかして…"マイハニー"って呼ばれたことに照れてるから…とか?」
「っっ!!!」
速攻でばれた。
トド松にあっさりとしょうもない乙女心を見抜かれて違う意味で恥ずかしくなってくる。
冗談だと分かっていてもそんな風に言われるのは初めてで、なんだか無性に恥ずかしかったのだ。
そしてカラ松がやたら良い声だったのがいけないと思う。