第3章 玉砕、のち(刀剣乱舞/御手杵)
「確か風邪とか言ってたよな。熱は下がったのか?」
「………………」
「……なんかぼーっとしてないか?本当に大丈夫か?」
「…………」
「おーい」
目の前で大きな手を振られてハッと我返る。
同時に後ずされば、御手杵は「おお!?」っと身を引いた。
「何だ、思ったより元気そうだな」
「…………あの、御手杵さん?」
「うん?」
「……何で普通に話しかけてきてるのかな?」
「何でって……ダチが居たら話しかけるだろ。普通」
「俺なんかおかしいこと言ってるか?」と首を傾げる。言ってること自体は友達として花丸の回答だが、そもそもの前提がおかしい。
「……何で私が未だに御手杵の友達カテゴリーに入ってるの」
「は?ダチだろ?」
「私一昨日告白したよね?」
「あ?……あー。そういやそうだったな」
今まで忘れていたと言わんばかりの反応が、塞がりきっていない傷を更に深く抉った。
……へぇ、私の告白ってその程度だったんだ……。一日で忘れられる程度だったんだ……へぇ……。
……まずい、本気で泣きそうだ。
「だからって別に……」
「それで一緒にいられるほど、私の心は図太くないの。……そういうことだから」
何か言おうとする御手杵を遮り、一方的に早口で告げて、踵を返す。
後ろから御手杵の声が聞こえたが、そのまま学校へ走った。
あぁ、もう。最悪だ。
もう涙も出ないくらい、泣きつくしたと思ったのに。
熱い雫で濡れた目元を、制服の袖で乱暴に拭った。